天文年間（１５３２〜５５）前田利昌が築城。その子利久、同じく利家、利家の子利長が相継いで居城した。
　天正三年（１５７５）利家が越前国府中（福井県武生市）に、同九年に利長も同地に移るに及び廃城となった。
　『尾陽雑記』、『古城志』などによると、この城は東西約６８メートル、南北約５０メートルあり、一重堀を巡らしていたとある。
◆前田利家と荒子城
　加賀百万石の藩祖、前田利家は１５３７（天文六年、＊天文七年説もあり）、利昌の四男としてこの地に生まれました（前田城説あり）。幼名は犬千代、十五歳のとき織田信長に仕え、元服して孫四郎利家と名乗り、信長の尾張統一戦のひとつ海津の戦で初陣を飾りました。二十二歳の時、十歳下のまつ（愛知県七宝町生まれ）と結婚、この頃、又左衛門利家と名を改めています。若い頃は奇抜な振る舞いを好みバサラ者でもありましたが、武勇に優れ「槍の又左」と呼ばれました。桶狭間の戦いの後、美濃攻めの頃から勇士のみに許された赤母衣（ほろ）衆の筆頭として従軍、三十三歳のとき、信長の命により荒子城主になりました。利家三十九歳の時、越前府中（福井県武生市）十万石を佐々成政、不破光治とともに治め、やがて能登一国を領有します。その後は、豊臣秀吉を補佐する大々名出世、後の加賀百万石の礎を築き上げました。
　荒子城は、天文年間、前田利昌の築城と伝えられています。規模は狭い平地に簡単な塀や堀をめぐらし、敵を見張るため屋根の上に櫓を設けただけの砦程度のものでした。城内には、冨士権現社と天満宮が祀られ、今に残されています。また、利家が府中に移る時、荒子観音寺の本堂を再建し、荒子七カ村（屋敷）には、祭に使用する絢爛豪華な馬道具（ばどん）を残していきました。
　利家が最も信頼した本座者といわれる「荒子衆」はこの土地の出身者であり、金沢城大手門前には荒子ゆかりの「尾張町」が残っています。時を経てなお、荒子と金沢は、荒子小学校と金沢市立味噌蔵町小学校の姉妹校提携や、関連行事の市民参加による交流が続いており、地元の小学校では前田家の梅鉢紋にちなんだ校章が使われています。
　２００２（平成十四）年ＮＨＫの大河ドラマ「利家とまつ〜加賀百万石物語〜」が放映され、利家生誕地「荒子」が広く全国に紹介されました。中川区で結成された「前田利家発信隊」は、利家ゆかりの史跡を結ぶ「犬千代ルート」を作り、ルートのガイドや、まちおこしに積極的に参加、郷土の英雄利家とともに百万石のふるさと「荒子」を全国に発信しました。

 

　荒子城跡である冨士権現社にいくには地下鉄東山線「高畑」駅が一番近いです。５番出口から約１０分ほどで荒子城跡にいけるのですがちょっと迷うかもしれませんのでまずは前田家ゆかりの荒子観音に行かれることをお奨めします。そのあとは簡単です。地面に犬千代ルートの矢印が設置されていますのでその矢印にしたがっていけば荒子城跡に到着します。
　城跡は小さな神社の境内に案内板と、大きな「前田利家卿生誕之遺址」碑が建てられていました。それとおそらく大河ドラマの時に作ったであろう、赤い旗が目立ちます。赤母衣ともかけてるのかもしれませんが私はどけて欲しいですけど(^^;
　まわりはすっかり住宅地ですので現在の神社の規模がそのまま城跡であるのはあまりにも狭いような・・私もドラマを見ていた一人ですのでドラマのイメージが強く残ってしまって、これまたいただけません(笑)。